2025年6月13日、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」が閣議決定されました。日本政府が推進する多岐にわたるデジタル化施策の概要を示しています。これには、AI技術の研究開発と社会実装、マイナンバーカードの普及と利用拡大、行政手続きのオンライン化が含まれます。また、地域創生におけるデジタル技術の活用、災害対応のDX化、サイバーセキュリティの強化など、国民生活と社会基盤の向上を目指す広範な取り組みが網羅されています。全体として、デジタル技術を基盤とした効率的で利便性の高い社会の実現を目指す、具体的な目標と計画が示されています。
今回発表された資料は上記の概要ページに加えて、資料として以下のものがあります。
- 概要 PDF(513KB)
- 代替テキスト Text(5KB)
- 本文 PDF(807KB)
- 重点政策一覧 PDF(2,405KB)
- 工程表 PDF(684KB)
- オンライン化を実施する行政手続の一覧等 PDF(876KB)
- データ利活用制度の在り方に関する基本方針 PDF(6,409KB)
- 統合版(令和7年6月13日閣議決定) PDF(10,472KB)
この中の重点政策一覧のなかからアイデンティティ管理についてNotebookLMとOtioに抜き出してみてもらいましょう。
それぞれ特徴があって、抜き出し方、まとめ方にクセがあるのですが、片方を読んだだけでは落ちているところもあったりしてら2種類並べて読むと概観としてはだいぶ良くなると思います。今後適宜注釈を入れていくつもりです。
タイミングをみてYouTube でダラダラ読むのも良いかもしれません。
それでは、どうぞ✨
NotebookLM版:重点政策一覧内のアイデンティティ管理に関する記載
アイデンティティ管理に関して、重点政策一覧には多岐にわたる施策が記載されています。主にマイナンバーカードを中核としたデジタルアイデンティティの推進、その各種行政サービスや民間ビジネスへの活用拡大、そしてより高度なデジタル・アイデンティティ技術や信頼性確保のための基盤構築に関する取り組みが挙げられています。
以下に主要な記載をまとめます。
1. マイナンバーカードを中核としたデジタルアイデンティティの推進
- 制度の目的と機能: マイナンバー制度は、国民の利便性向上、行政の効率化、公平・公正な社会の実現を目指しています。これは、誰の個人情報かを正確に特定し、行政機関同士の情報連携によって添付書類の省略などを可能にするものです。
- 「デジタル社会のパスポート」としての位置づけ: マイナンバーカードは、対面・非対面を問わず、確実かつ安全な本人確認・本人認証ができる「デジタル社会のパスポート」と位置づけられています。
- 取得・利用促進: 希望する全ての国民が円滑にカードを取得できるよう、申請環境や交付体制の整備を促進し、その利活用を推進していきます。
- 「市民カード化」の推進: 日常生活の様々なシーンで安全・安心に利用できるよう、「市民カード化」を推進し、「書かない窓口」や「図書館DX」の実現など、行政による市民サービスでの利活用を支援します。
- 次期カードの検討: 安全で利便性の高い魅力ある次期個人番号カードの導入を目指し、関連システムの対応を含めて検討を進めています。
- 広報の強化: マイナンバーカード、マイナ保険証、マイナ免許証、スマートフォン搭載の利用促進など、カードのメリットや安全性、新たな利活用方法について、国民、自治体、民間事業者へ分かりやすく伝えるための広報を強化します。
2. マイナンバーカードの各種行政サービス・民間ビジネスへの活用拡大
医療・介護分野
- 健康保険証との一体化を進め、「マイナ保険証」を基本とする仕組みに移行しています。スマートフォンでのマイナ保険証利用も、環境が整った医療機関から可能になる予定です。
- 医療費助成の受給者証や診察券との一体化を推進し、マイナンバーカード一枚で医療機関・薬局を受診できる環境整備を目指します。
- 救急時において、傷病者のマイナンバーカードを活用し、病院選定などに資する情報を把握する「マイナ救急」の実証事業を全国で推進しています。
- 介護保険証としての利用も進められています。
- 母子保健情報(健診受診券、問診票入力)の自治体間連携システムに活用し、全国展開を目指します。
- 予防接種事務のデジタル化にも活用し、オンラインでの対象者確認やオンライン費用請求の効率化を図ります。
- 民間PHRサービス事業者による健診等情報の利活用促進のため、マイナポータルAPI接続を推進します。
就労・教育分野
- ハローワークでの受付システムなど、就労分野での利用を促進しています。
- 大学での出席・入退館管理や各種証明書発行など、キャンパスのデジタル化に活用します。
証明書・手続のデジタル化
- 診断書や死亡届の電子的な提出に取り組んでいます。
- 国家資格の取得・更新手続における添付書類の省略や、資格所持の提示・証明に利用します。
- 出生届、引越し手続、確定申告などのオンライン化・デジタル化を推進し、マイナポータルを活用した利便性向上を目指します。
- 在外選挙人名簿登録申請のオンライン化などにおける活用も検討されています。
- 給付支援サービスにおいて、マイナポータルとの連携機能を実装し、申請受付から給付までの期間短縮を目指します。
その他
- 災害時に避難所における受付や健康医療情報の取得、罹災証明書のオンライン申請など、被災者の利便性向上に活用を促進します。
- 障害者手帳情報とマイナンバーの連携を普及し、スマートフォンアプリやウェブサービスで手帳情報を簡便に利用できる民間の仕組みを周知します。
- 行政手続のデジタル完結を目指し、年間件数1万件以上の申請等についてオンライン化を進めます。
民間ビジネスでの利用
- マイナンバーカードが持つ本人確認機能の民間ビジネスでの普及を図るため、電子証明書失効情報の提供に係る手数料の無料化、最新の住所情報等の提供、スマートフォン搭載を推進します。
- チケット不正転売防止や酒・たばこ販売時の年齢確認サービス、在学証明などの新たなユースケース創出の実証実験を行います。
3. 他の公的本人確認書類との一体化
- 運転免許証との一体化: 2025年3月から運用を開始しており、住所変更手続のワンストップ化、住所地以外での迅速な経由更新、オンラインによる更新時講習の円滑な運用を実現します。モバイル運転免許証の検討も進められています。
- 在留カードとの一体化: 外国人の在留資格手続におけるマイナンバー活用を可能とし、2026年度末の運用開始を目指しています。マイナンバーカードと在留カードの一体化に向けた法改正も行われました。
4. 高度なデジタル・アイデンティティ技術と信頼性確保の基盤構築
- トラストとデジタル・アイデンティティ: データの流通・連携の基盤として「トラスト」1の確保が求められています。自己主権型のデジタル・アイデンティティ (DIW, VC) の社会実装に向け、ガバナンスのあり方を整理し、行政分野でのユースケース創出を目指します。
- 本人確認ガイドラインの改定: 「行政手続におけるオンラインによる本人確認の手法に関するガイドライン」の改定を2025年度中に実施し、サイバー攻撃や身分証明書の偽造増加に対応します。
- 国際連携: EUとの間で教育クレデンシャルに係るデジタル・アイデンティティの国際相互運用実証を2025年度中に開始します。
- JPKI原則一本化: 犯罪収益移転防止法や携帯電話不正利用防止法に基づく非対面本人確認方法について、マイナンバーカードの公的個人認証(JPKI)への原則一本化と、対面本人確認方法におけるICチップ読み取りの義務化を進めます。2
- PDS・情報銀行: 個人データストア(PDS)や情報銀行の活用を検討し、データ仲介サービスを行う事業者の概念も参照しながら、本人に主権のあるデータ流通の仕組みを模索します3。
- eシール・タイムスタンプ: 国によるeシールに係る認定制度を創設し、タイムスタンプの普及啓発に取り組みます。4
5. 法人共通認証基盤と職員ID管理
- GビズIDの利用拡大: 事業者向けの法人共通認証基盤「GビズID」の利用を拡大し、原則全ての行政手続での採用を目指します。商業登記電子証明書との連携も強化します。
- 職員ID基盤の実現: 政府全体の情報システムID管理・認証機能を統合するため、職員ID基盤を整備し、業務効率化と多様な人材への対応を図ります。
これらの取り組みを通じて、デジタル社会における安全で信頼性の高いアイデンティティ管理基盤の確立と、それによる国民・事業者の利便性向上、行政の効率化が目指されています。
Otio版: 重点政策一覧内のアイデンティティ管理に関する記載
なるほど、という感じですが、見落としがあるかもしれないので、一応Otioでも同じプロンプトでやってみましょう。結構まとめ方が違うし、あらたな気づきがありますね。
🔐 デジタル・アイデンティティの国際的推進
国際相互運用の実現
- EU との間でデジタル・アイデンティティの国際相互運用に向けた教育クレデンシャルに係る実証を2025年度中に開始
- 「本人を介した情報連携」によるIHVモデルの構成要素として、DIW(Digital Identity Wallet)・VC(Verifiable Credentials)の利活用を推進
新技術の社会実装
- 自己主権型デジタル・アイデンティティの構成要素であるDIWやVCの社会実装に向けたガバナンスの在り方を2026年度中に整理
- 2027年度を目処に国内の行政分野における初のVC利活用ユースケースを創出
💳 マイナンバーカード機能の拡充
基本機能の強化
- マイナンバーカードの普及及び利用推進、デジタル認証アプリの更なる利用拡大
- 携帯電話契約における非対面本人確認方法を原則マイナンバーカードの公的個人認証(JPKI)に一本化
スマートフォン搭載5
- iPhone端末への電子証明書及び基本4情報等のスマホ搭載を2025年春に実現
- Android端末への基本4情報等のスマホ搭載を2026年秋頃に実現
各種カードとの一体化
- 健康保険証、運転免許証、在留カード、医療費助成の受給者証や診察券との一体化を推進
🏢 法人認証基盤の整備
GビズIDの利用拡大
- 原則すべての行政手続でGビズIDを採用し、2026年7月までに商業登記電子証明書との連携を目指す
- 法人の80%がGビズIDを取得することを2030年度の目標に設定
商業登記電子証明書の普及
- 2025年度よりリモート署名方式の開発に着手し、2026年7月よりGビズIDと連携した運用開始を目指す
📋 eシール・タイムスタンプ制度
eシール認定制度
- 組織が発行するデータの信頼性を保証するため、国による「eシール」の認定制度を2025年度に運用開始
タイムスタンプ制度
- 2021年度より開始した国による時刻認証業務に係る認定制度を継続して運用
🌍 トラスト基盤の国際展開
DFFTの具体化
- 信頼性のある個人データ流通の観点から個人情報を安全・円滑に越境移転できる環境を構築
- EU及び英国それぞれとの相互認証の枠組み拡大を2025年度中に完了させ、新たな国・地域との相互認証に向けた協議を開始
本人確認ガイドラインの改定
- サイバー攻撃・フィッシング攻撃・身分証明書の偽造増加に対応し、「行政手続におけるオンラインによる本人確認の手法に関するガイドライン」を2025年度中に改定
これらの取り組みは、個人・法人の確実なアイデンティティ確認から国際的なデータ連携まで、包括的なアイデンティティ管理エコシステムの構築を目指しています。
特に注目すべき点として、技術面では従来の物理的な証明書からデジタル証明書への移行、制度面では国際相互運用性の確保に重点が置かれていることが分かります。
脚注
- P.84 で「トラスト(発行者や非改ざん性等を検証する仕組み)」とこの文書での意味が述べられている。
- ○[No.1-71] 犯収法等における非対面本人確認方法の原則 JPKI 一本化及び対面本人確認方法の IC チップ読み取りの義務化
・ 犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)、携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律(携帯電話不正利用防止法)に基づく非対面の本人確認方法について、マイナンバーカードの公的個人認証に原則として一本化し、運転免許証等を送信する方法や、顔写真のない本人確認書類等は廃止する。また、対面の本人確認方法においてもマイナンバーカード等のICチップ情報の読み取りを犯収法及び携帯電話不正利用防止法の本人確認において義務付けるための取組を進める。
具体的な目標: 犯収法、携帯電話不正利用防止法における非対面の本人確認方法の見直し
・犯収法(2027年4月1日)
・携帯電話不正利用防止法(2026年4月1日)
対面の本人確認方法の見直し
・犯収法(2027年4月1日)
・携帯電話不正利用防止法(2027年4月1日)
主担当府省庁: 警察庁、デジタル庁、総務省
関係府省庁: 金融庁 - ○[No.3-11] PDS・情報銀行の活用 ・ 欧州では、2023年にEUデータガバナンス法が施行され「データ仲介サービスを行う事業 者(以下「データ仲介者」という)」に対する要求事項が含まれている。情報銀行は、 学術的な観点で「データ仲介者」と類似する仕組みとして、同様の役割を期待されてい る。過年度における準公共・相互連携分野での実証等を踏まえ、情報銀行の、本人と同 等の判断を実現する“仲介的機能”のガバナンスの仕組みを、「データ仲介者」の概念 も参照しながら、発展的転用を行うことを検討する。
・ また、教育分野におけるPDSは個別最適な学びの実現のために期待される技術の一つで あり、データの管理手法、データの同意取得の在り方等、将来的な実装に向けた技術的 検討事項が複数存在するため、PDSの教育分野における活用性や適用性について検証を 行う。
具体的な目標: 過年度における準公共・相互連携分野での課題検証の結果を踏まえ、「情報信託機能の認定に係る指針」の見直しまたは発展的転用先を検討(2025年度 を目途) 教育分野におけるPDS活用に向けて、技術的要件等に関する調査研究及び実 証事業を実施し、事業者等がPDSを活用する際、参考となる参照文書等を整 備(2025年度を目途)
主担当府省庁: 総務省
関係府省庁: 個人情報保護委員会、経済産業省 - ○[No.3-16] e シール及びタイムスタンプの利活用拡大の推進
・ <eシール>2024年度に国によるeシールに係る認定制度の創設に向けて、制度運用に必要な関係規程の策定に資する検討を行うことを目的に「eシールに係る認定制度の関係規程策定のための有識者会議」を開催し、当該有識者会議における検討結果を踏まえて、関係規程を策定・公表し、国によるeシールに係る認定制度を創設した。2025年度は、創設した制度の運用を行うため、指定調査機関の指定を行う。
・ <タイムスタンプ>2021年度より制度を開始した国による時刻認証業務に係る認定制度について、引き続き的確な制度運用を行いながら、タイムスタンプの普及啓発に取り組む。
・具体的な目標: <eシール>指定調査機関の指定
・<タイムスタンプ>的確な制度運用の実施
・主担当府省庁: 総務省
・関係府省庁: ― - P.56 ○[No.1-70] マイナンバーカードのスマートフォン搭載